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頻尿の治療薬(即効性)が有効であるメカニズム

掲載誌 ドクターサロン

山梨大学泌尿器科教授
武田正之
(聞き手 池脇克則)

 コンサート、映画館など排尿しにくい場所に行く場合、頻尿の予防薬として
ロキソプロフェン(ロキソニン)が即効性があり有効だとされているようです。
メカニズムなどご教示ください。

石井泰憲<埼玉県開業医>

池脇 頻尿の予防薬として、鎮痛薬のロキソニンが即効性があって有効だということですが、これは本当なのですか。

武田 我々がつくっているガイドラインの中で、ロキソニンは過活動膀胱の治療薬の一つとして取り上げてはおりますが、実際には適用外で、エビデンスレベルが高くないということを前提でお話をします。
ロキソニンの作用機序とは、ご存じのようにプロスタグランジン産生阻害です。プロスタグランジンの産生阻害によって腎臓の血流を低下させるので、尿の産生量が減ります。そうしますと、相対的に排尿回数が減るということになりますが、これが頻尿を改善させる有効なメカニズムかもしれません。
もう一つは、10年ぐらい前からいわれているのですが、尿がたまったときに尿意を伝えるメカニズムの一つとして、膀胱の上皮の細胞からプロスタグランジンが産生されます。その産生されたプロスタグランジンが粘膜の下にある求心性神経を刺激すると、尿意が伝わってトイレが近くなります。ロキソニンはこの経路を遮断する可能性があるといわれていますが、まだ人間では完全に証明されてはいません。

池脇 確かに、特に高齢者で鎮痛薬としてのロキソニンで腎臓が悪くなるというのも腎血流が落ちるというわけですから、健常な方でそれをうまく使うということになるわけですね。

武田 そう解釈されてよろしいと思います。

池脇 これは本当に即効性があるわけですね。

武田 そうですね。特に夜間頻尿の方に多分いいだろうと思います。作用時間が短いので寝る前に1回だけ内服すれば、夜間の尿の生産量が減るので、夜、トイレに起きなくて済むというように説明できますね。

池脇 質問のコンサート、映画館以外に、夜間の頻尿にロキソニンを使う手もあるということですか。

武田 患者さんによっては有効かもしれません。

池脇 さて、具体的に、コンサートに行く場合、どういうタイミングで服用すればいいのでしょう。

武田 先ほど申し上げたように、ロキソニンは即効性で半減期が短いので、出掛ける直前に内服するとよろしいでしょう。

ドクターサロン57巻2月号(1.2013)